「おー、待たせたな!」
トイレに着くと、お兄さんは大きな声で姿の見えない友達に話しかける。
「待ちくたびれたっつうの。で? 良いの見つかった?」
一番奥の個室から返事があった。
「ばっちり! 最高のを見つけてきたからな〜。汚しても構わないそうだから、遠慮無く使わせてもらお〜」
そう言うと、一緒に来たお兄さんが僕の肩に手を置いて、声のした個室を指差す。
「あいつ、ずっとあそこで待ってたんだ。早く行って使わせてやってくれる?」
「はい・・・でも、あの、僕何を・・・?」
いいから、いいから。とお兄さんは僕の背中を押す。
押されてよたよたと前につんのめる。
個室の扉は開いていたが、いきなり入るのは失礼かな?っと横から覗き込むように顔をだした。
「・・・あのー、失礼しま−」
!!!??!!!
何? 何?
「どうしたの?」
驚いて思わず顔を引っ込め、茶髪のお兄さんを振り返る。
けど、お兄さんは不思議そうに僕を見ている。
見間違え・・・?
でも・・・
ううん、あんなのあるわけないよ。
お兄さんも僕を不思議そうに見てるし・・・
呼吸を整え、もう一度覗き込んでみる。